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#4 パリ展示を終えて

2021年11月6日から10日間、フランスパリにて開催致しました「2021DISCOVER JAPAN PARIS」。イベント期間中、ギャラリーのショーウィンドウから見える作品を観て、パリの方々の反応が大変よく、立ち止まっては外通りから撮影される方、興味を持って入店される方が沢山いらっしゃいました。

日中は自然光に、夜は展示用ライトに照らされて浮き出る作品たちの表情とモチーフに惹かれ、皆様細部まで熱心にご覧になられており、中でも陶芸作品は大変な人気。特に「備前焼」のスタイルを好まれるフランス人の方が実際に手にとって質感を試されていました。「備前焼」は皆様の記憶に残る作品だったようで、イベントが終わってからも「あそこに展示してあった作品は本当に素晴らしかったわ」とコメントを下さる方や来店者様の中にはじっくりと一つ一つの作品を30分以上滞在され、ご覧になられていた方もおられました。

これは本展示会のテーマである「ニッポンの伝統工芸から創出されるニュー・ノーマルな新たな世界感」とも密接に関連する傾向で、フランス人にとっては非常に興味深いテーマであり、ご興味を持っていただいた方やご購入いただいた方に共通している要素として、一見してデザイン的に極めて現代的なオブジェであるという印象が強いことが挙げられます。それに対し一般的に海外で紹介される日本の工芸品全体に言えるのは、伝統的な技法や使用方法を意識するあまり、現代的なフォルムやカラーリングに対してあまり重点が置かれていない傾向が強いという点です。

日本の工芸品を実用品というよりも寧ろアート作品(オブジェ)として購入される欧米の愛好家は少なくありませんが、その際の購入ポイントとして必ず口にされるのが「その作品がコンテンポラリーかどうか」です。逆に言うと、少なくとも欧米市場においては、それ以外の要素は二の次だと考えていいと言っても過言ではありません。

もちろん前述のように備前など特定の伝統技法を好まれる愛好家も居られますし、恐らく 技術的な部分について「日本製」としての信頼が確立されているという背景があってこそという事情もあるだろうと思いますが、多くの日本人作家が技術的な完璧さに固執しすぎて、パッと見た時の印象の重要さを若干疎かにしていると考えている欧米人が多いことは否めないと感じます。

日本の伝統工芸品に対する賞賛の声が常に非常に多いにも関わらず、それに比例するだけの販売実績が上がっていないのは、輸送コストなどによる販売価格の上昇というよりも、むしろこのような欧米市場の需要のポイントを掴めていないことが最も大きな理由ではないかと思われます。

そしてもう一つ、日本人と欧米人の感覚的な根本的違いとして押さえておくべき重要な要素に「サイズ感」があります。つまり「同じ価格ならサイズはより大きい方がいい」という感覚が欧米人は日本人よりも非常に強いと言えます。日本人が欧米の展示会に行かれるとすぐに感じることが「展示品が全体的に大きい」ということです。単純に商品一つ一つのサイズが大きいのです。

これは国土や居住空間の面積が平均的に広い北米・南米諸国だけでなく、日本とそれほど変わらない欧州でも基本的には同じです。材料費などのコストの問題を別にすれば、日本人にとっては必ずしも小さいからと言って価格が安いとは限らないという価値観がありますし、より細かい細工などに価値を置く美的感覚がありますが、欧米にはその感覚があまりありません。サイズ感と価格のバランスが現地の感覚としっかり合っていることが特に欧米で受け入れられる要素であります。

展示全体として来場者は皆、作品の質の高さについてとても高く評価されており、「こんな作品見たことがないし、こんなに違うスタイルの日本作家の作品を同時に見ることができて嬉しい」「日本の陶磁器のレベルの高さは知っていたが、本当に圧倒されました」という声も聞かれ、全体的にとても満足されていたという印象でした。

今展開催の結果を踏まえ、改めて海外マーケット拡大へのチャレンジに取組みたいと思っております。今展にご参加頂いた作家様、御協力頂きましたパリギャラリー様、御関係者様、有難うございました。心より御礼申し上げます。

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